異なる立場の目線から

今年の夏は、卒業論文の調査として福島県に長期間滞在することになりました。久しぶりに地元で過ごす機会ができ、嬉しく思うとともに身が引き締まる思いです。

今回の研究の調査対象は、2011年3月時点で福島県いわき市に住んでいた有配偶(既婚)かつ未成年の子を持っていた女性で、震災発生時から現在までの福島県の女性の生活と雇用状況の推移を調査することが目的です。

まだまだ不勉強な部分も多く、調査設計と先行研究を往復しながら試行錯誤して取り組んでいる段階ですが、やるからにはやはり意義のあるものにしたいと考えています。

計画書を提出以前は国民生活基礎調査国勢調査などを用いてミクロ統計分析をしようと考えていましたが、それでは私が明らかにしたい「平常時の女性の潜在的脆弱性の高さ」を明らかにすることが難しいと考え直し、調査手法は聞き取り調査を中心に行うことに決めました。

と言うのも、福島県含む被災3県は震災発生時の統計データが欠落しており、加えて女性は男性と比較してライフイベントの影響が大きいため、年度ごとの集計ではわからないことの方が多いことに気づいたためです。

思い返せば、初めは統計分析に拘っていたのですが、その選択自体が研究の軸からズレていたように思います。私には定量的な数字が確固たる論拠であると言う強い思い込みがあり、フィールドワークを軽視していました。また、複雑な統計解析や機械学習といった流行りの技術を自分も身に付けたいと言う気持ちが先走り、結局は物事の本質から遠ざかっていたと反省しました。

何より自分がこれまで勉強してきた手法を信じることができないのは勿体無い。

当初の計画と調査・分析手法は異なりますが、自分のできることとそうでないことを正しく見積もって地道に続けて行こうと思った次第です。

そしてそのことに気づかせてくださった先生と、研究室の同期には感謝してもしたりません。諭してくれる人たちの存在は本当にありがたい限りです。

これから現地の女性に聞き取りを行うに当たって、まだまだ考えなくてはならないこともありますが、着実に誠実にやり遂げたいと思います。

 

今日でブログの開設から4年経ったことをリマインドで知りました。どうぞこれからもよろしくお願い致します。