就職活動の振り返り

1.はじめに

 4月から開始した就職活動もようやく今月で終わりました。ご心配してくださった方々や、色々アドバイスをくださった方々、本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。

 先ずはここで頑張りたいなと思える会社から無事内々定をいただけたので、これまでの就職活動を振り返って反省点なども含めて時系列で振り返ろうと思います。これから就職活動や転職活動をする方の参考になれば幸いです。

 

2.自分のことについて

 まず就活の話をする前に、私のことについて触れたいと思います。というのも、私は恐らく「イレギュラーな新卒者」に該当するからです。

 私は高校を卒業してから一度社会人としての就労経験があり、4年半小売業で働いていました。その後大学に入りたいと考え受験をし、現在に至ります。なので新卒といってもすでに就労経験はありますし、年齢も就業時には28歳で、一般的な新卒の年齢である22歳〜26歳と比較してもだいぶ年上です。

 実際に就職活動をするに当たって、採用担当の方に自分は新卒枠なのか、既卒枠なのかと尋ねても企業によって回答は様々でしたし、すぐには回答ができないと言われることも多々ありました。また、新卒で受けてくださいと言われて選考に進んだものの、やはり中途で受けてくださいと言われ、2通りの選考に参加した会社もありました(ここは人事のミスのようでしたが…)。就活前の時期はインターンも何度も応募しましたが、主に年齢や就労経験を理由に全て落とされました。でも、今振り返ってみれば就活そのものが自分の研究領域なこともあり、身一つで実験しているようなところもあって面白かったです。

 なのでこの振り返りは「スタンダードな新卒者」よりも獣道を開拓していくような「イレギュラーな新卒者」に参考になるかも知れません。そのあたりも頭の隅に置いていただければと思います。

 

3.就職活動をしようと思ったきっかけ

 出だしからかなり不利な新卒での就職活動になぜ参加参加しようとしたのか?ということについてはいくつか理由があるのですが、特に決め手となったのは中途で就職するよりもより良い条件の求人が沢山あったことです。

 私は最終学歴が高卒ということもあり、大学在学中も含め中途での就職活動の厳しさを嫌というほど味わっていました(詳しくはこちら)。基本的に中途は即戦力を求められるので、よほどの専門性がない限り他業界への正社員での転職は難しかったです。しかし日本の新卒採用は概ねポテンシャルがあれば雇用してくれる企業が多く、私のような不利な立場でも受けられる企業が予想よりも多くありました(もちろん就労経験で弾かれたり、年齢で弾かれることもありましたが、そこは入っても合わなかっただろうなと思うので弾かれてよかったです笑)。

 私はこれまでの経験から一度自分のキャリアが断絶されても以前行っていた仕事が評価されるような専門性の高い仕事に就きたかったので、その時に中途で非正規雇用から経験を積んで正社員登用という狭き門を狙うのか、それとも給与は低くても新卒社員で正規雇用になってOJTも踏まえつつ経験を積むのかという2つのルートがあった時に、2つ目のルートを選んだと言ってもいいかも知れません。

 

4.就活前に迷ったこと

 これは就活中も何回も自問自答したことですが、大学院に行くか就職するかで禿げるほど悩みました。特に大学3年になってから本格的に研究が面白くなり始めてきて、それと比例するように勉強したいことがどんどん雪だるまのように増えていきました。Rを使ってWeb scrapingや分析を行ったりするのも楽しかったですし、先行研究の論文を浴びるように読んで手探りで調査することの醍醐味を知れば知るほど大学院への興味が湧いて、実際にいくつか研究室を訪ねたりもしました。

 しかし現在の私の家計の状況は自転車操業で安定しておらず、この金銭的に苦しい状況が続くことはもう限界だなとも感じていました。また、同時期に将来を約束する人ができたことで、この先一緒に生きて行く人に金銭的なことで何かを負担させたくはないという思いや、私の稼ぎがないことで将来授かるかも知れない子供に何かを諦めさせたりしたくはないと思うようになりました。

 私自身大学での専攻に対する熱意は誰にも負けないくらいありますが、頭や器量は良いほうではないので、先の見えない賭けに出るよりもまずは自分の人生の基盤を固めて、チャンスが訪れればその時にまた通えばいいと考えるようになりました。それに私が社会で働くうちに、どなたか優秀な方があるべきポジションに収まるかも知れませんし、それが望ましいようにも思います。でもきっと、折に触れて考えることではあるのでしょうね…

 

5.就職活動(前半)

 というわけで私は19卒の就職活動を4月1日の情報解禁日からスタートしました。ゼミの同期は早い人だとすでに2月には内定が出ていたりしたので、それでも遅めのスタートだったと思います。一応経団連内閣府から就活に関する指針が発表されていましたが、加盟企業以外は遵守しておらず、また加盟企業もかなりグレーゾーンなやり方をしているように感じました。なので就活生はその指針を鵜呑みにせず、早め早めに情報収集をしていたほうが良いかも知れません(それもどうなんだとは思いますが…)。

 当時の就活の軸は「ライフイベントによってキャリアが断絶しないこと、してもリカバリーができる職種であること」「大学で学んだ知識を活かせるところ」「入社後も勉強することが奨励されているところ」「主体的にキャリアが築けるところ(成果給、あるいは年功賃金制度が緩いところ)」でした。このことを踏まえて、私は4月の時点では士業と金融を中心に就職活動をしていました。また、結婚しても働き続けたいため、彼氏の勤務地から転勤することの無いエリア総合職と事務職に限定して就活をしていました。

結果としては下記の図の通りです。

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 「たった6社?」と思われる方もいるかもしれませんが、自分の希望する職種+事前の採用情報や人事に直接話をして新卒採用対象になるかを聞き、篩にかけたときに残ったのは6社だけでした。

 また、そのうち内定をいただいたのはA社とB社E社の3社でした。残念ながら他の企業とはご縁がありませんでしたが、面接を受けて「ちょっと違うかも」と感じたところは軒並み落とされているので納得度はありました。

 勿論サイレントなどもあり(本当にあるんだ〜と感動(?)したりもしました)それなりに落ち込んだりハラハラしたりしながら就活をしていたので、第一志望のE社の内定が出た時はもうこれで就活をやめようと思いました。

 

6.就活後半戦を始めたきっかけ

 しかし、その後の内定者懇親会などを経て自分の望む働き方と内定先のE社での働き方が合っていないと感じるようになり、就職活動を再開することを決めました。E社では度々先輩社員との交流会を開いてくれたのですが、その時に「大体5年働いてからやっと出産できるかなという感じ」「土日勤務も入るときがあるし、残業も月40時間は確実に超える」という話を聞いて、それまで就活で優先順位の低かった「ワークライフバランス」が引っかかるようになりました。

 先の話になりますが、私が今付き合っている方と結婚をして、出産や育児を考えた時にどちらかの親に頼ることは難しいのが現状です。物理的な距離の面でも、そしてお互いの家族もそれぞれの生活があり時間的な余裕があるわけではないので、なんとか2人で力を合わせてやっていかないといけないのに、月40時間も残業したら二人の生活が持たないのではないかと考えるようになりました。また欲を言えば、せめて3年働いたら子供も欲しいですし、5年という時間は長すぎるように感じました。

 また、企業の規模が大きい分自分の希望する部署に配属されることは確実とはいえず、長い間その企業に属してこそ実りがあるという制度設計が私の求めるキャリアを合っていないとも感じました。特に私のやりたい資産運用部門は花形なので競争率も高く、ライフイベントなどもある中でずっと同期の中で勝ち抜いていかなくてはならないプレッシャーに耐えられる自信はありませんでした。加えて、年功賃金制度に沿っての評価も給与テーブルも満足できる内容ではありませんでした。

 以上を踏まえて、もっとワークライフバランスを踏まえた就活や納得度の高い就活をしようと思い、就活を再開しました。

 

7.就職活動(後半)

 後半の就活の軸は前半の反省を生かして「ライフイベントによってキャリアが断絶しないこと、してもリカバリーができる職種であること」「大学で学んだ知識を活かせるところ」「入社後も勉強することが奨励されているところ」「主体的にキャリアが築けるところ(年功賃金制度が緩いところ)」に加えて「社員が余暇時間の過ごし方をしっかり語れるところ(残業時間週20時間)」「男性社員も育休を取得しているところ」でした。また、前半で受けられる金融系の企業は殆ど受けていたことなどもあり、後半の就職活動は金融×ITを中心に行いました。

 金融そのものは日本国内の市場規模の縮小傾向や金利政策などの影響もあって先行きが不透明ですが、ITについてはまだ伸び代がありこれからますます需要はあるだろうなと考えました。特にSEは労働市場でもかなり需要があることや、仕事内容としても専門性が身につくことから、ライフイベントでキャリアが断絶しても再就職には一定以上は困らないのではないかと思いました。さらに言えば、ITの基礎知識を持っている士業はまだまだ少ないので、まずはIT企業で経験を積みつつ余暇時間で勉強をして、ゆくゆくは自分がそうなればいいのでは無いかという考えもありました。

 後半戦の就活の結果としては下記の通りです。

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 4社中内々定をいただいたのはJ社のみ、I社は途中で辞退をしました。それ以外は書類選考で落ちています(うちG社はサイレントだったため6月末を持って諦めました)。

 後半の就活ではITを中心に受けていたこともあり、学部とは関連性がなくかつプログラミングが未経験である自分がなぜITに入りたいのかを説明して相手に納得してもらうことについて、前半よりも難易度が高かったように思います。どうしても抽象的な言葉のやり取りになってしまうため、J社については最終選考で恐らく落ちただろうなと思っていました。なので内々定の連絡を頂けた時は本当に嬉しかったです。

 というか、就活していて思ったのですがIT系は企業によってはめちゃくちゃワークライフバランスが良かったりするので(しかもキャリアアップも望める)就活を士業・金融縛りで見ていた私はそのギャップに驚きました…

 自分が入りたいと考えた企業に内々定をいただけたことで、そして納得度も高かったため就職活動はこの内々定をもって終了することに決めました。

 

8.就活を終えて

 今就活を終えて思うことは納得が行くまで就活を続けてよかったなというところです。前半で内定をもらっていた会社に納得度の低いまま就業していたら、もしかすると早いうちに離職していたかもしれないなと思います。

 また、就活を続けて自分が働く上でのプライオリティが明確になってきたこともあり、そういう意味では4月よりも早い段階から情報収集だけでもしておいたほうがよかったかもしれないなと思いました。どうしても就活が後ろ倒しになるに連れて選択肢は減ってしまうので…

 あとは中途採用と違って企業が説明会を用意してくれたり、新卒という切符を使ってOB訪問ができるアプリなどを駆使できたのはよかったなと思いました。就活は情報をどれだけ一次ソースから手に入れて、自分で精査できるかが大きいなと思います。今回手に入れた情報は、自分が転職する時にも使えそうなものもありました。

 一方でいわゆる某○kersのような口コミサイトは情報としての精度はあまり高くないので鵜呑みにすることはやめたほうがいいと感じました。古い年度のものや、社員の属性も一緒くたにされているものが多く、また口コミで辛辣な批判をしている人がどんな社員だったのかまでは見えないので…その辺りの精度が甘いなと感じました。それから某みん○は一度だけ見ましたが、そのあとは見るのを辞めました。あれをみるメリットが単純にわからないのですが、なんかこう気がまぎれたりするのかな…メンタルが弱い人や素直な人が見たらあれを見たら確かに病むかもしれません。

 それから最近はダイレクトリクルーティングのアプリが流行っているようで、オファーボックスなどを使って内定をもらっている同期もいました。あとはプログラミングができる子はpaizaというコードを書いてスカウトされるサイトに登録し、ガンガン内定をもぎ取っていました。できる人はそういうのを使ってみるのも手だとは思います。

 インターンについては私は全落ちしたので何も言えませんが、同期で行ってきた子の話を聞く限り1dayは会社説明会と変わりなく、行く意味はあまり無いとのことでした。企業にもよると思いますが、そのあたりも情報を手堅く集めて行ったほうがはずれくじを引く確率は低くなるのかな、と思います。

 

9.就活まとめ

 かなりざっくりとではありますが、これが私の就職活動の振り返りです。総じて楽しかったなと思える就活でよかったな〜と今はのほほんとしていますが、やっているときはそれなりにキツかったり怒ったりすることも合ったので喉元過ぎれば熱さを忘れるってやつですね。あとは私たちの代はいわゆる売り手市場だったので、それは幸運だったなと思います(それもどうなんだ…)。

 それから私はイレギュラーな新卒者ではありますが新卒一括採用の恩恵に、というかこの制度にかなり救われた部分もあるので一概に新卒一括採用批判もやはりできないなと思ったりもしました。

 これから勉強しなくてはならないことは多々ありますが、一つづつコツコツと頑張りたいと思います。思い出すことがあればまた何か描きたいなとは思います。まずは資格の勉強と卒論の調査を頑張ります。